スタジオなどでの撮影では、写真を撮るときカメラを見てもらいます。目線をもらうってやつですね。僕は、ネットニュース用の写真を撮っていますので、囲み取材に参加することもあります。囲み取材では、目線のある写真が撮りたいのでカメラマンは積極的に被写体の方に声をかけます。中には面白いことを言って被写体を笑わせて良い表情を撮る強者までいます。

そういう環境下のカメラマンとしての活動の方が長いため目線命という考えが今でも抜けません。最近は、個人的な撮影も多いので注意しなければいけないと思うこともありますが、今思っている持論を書いてみようと思います。

シーン再現的な写真を撮るとき、つまり何かをしている状況を撮るというシチュエーションがあります。たとえば女の子同士が楽しくおしゃべりしている様子を撮るというシーンがあるとします。こういう写真はただそのまま撮れば絵になるわけではありません。普通に話をしているとき、話す相手の顔を見て話します。そうすると誰もカメラを意識しないと思います。そこでシャッターを押せば、仲良く話している様子を切り取ることはできますが、それが果たして良い写真であると言えるでしょうか?僕は違うと思います。写真で表現するには、ちょっとした作り込みが必要です。世界観を壊さずに、かつ写真としても成立させる必要があるわけです。僕がよく使うのが、話をしているシーンだけどカメラが撮っていることを意識してもらうことをお願いします。簡単に言うと目線ももらうようにしています。複数人居れば全員でなくても主題になる人だけでも大丈夫です。こうして少しポイントを入れるだけで主題も引き立ち、やっていることがわかる写真が撮れるのではないかと思います。